今年4月のフレッツ光クロス導入後、インターネットの速度が向上したのは良かったのだけれど、速度測定の結果から、自宅内の有線LANが2.5GbEであることがボトルネックになっている可能性があった。まだ10GbEの導入は早いかなとは思っていたのだけれど、やはり気になったので導入に向けて動くことにした。
自宅内の有線LANを10GbE化するためには、各PCの有線LANポートを10GbE対応とするために10GbE対応のNICを追加し、ハブも10GbE対応の製品に置き換える必要がある。まずは、ハブを10GbEの製品に置き換えることにし、調査を開始。
2.5GbE対応のハブは価格がこなれてきて発熱も低くなってきたけれど、まだ10GbE対応のハブは価格があまりこなれていなくて発熱も多めな感じであった。現時点で最もコストパフォーマンスに優れているように思えた製品としてTP-Link製のTP-SX105という5ポート10GbE対応のハブがあり、購入を検討していた時期の価格は2万円台後半で、他の製品より安かった。この製品はファンレスではあるが発熱はそれなりにある様子。少々迷ったけれど、この製品を購入することにした。ちなみに、購入した日に同じTP-LinkからDS105Xという製品が発売開始されていたけれど、スペック面では差が見当たらなかったのとDS105Xの方がやや高価だったので選択しなかった。
10GbE対応のNICについては1万円前後のそこそこ安価な製品が出てきていて、そのような製品はMarvell AQC107やAQC107S(この2つの差はよく分からず)を採用している製品がほとんどである。AQC107系を採用しているNICについては、発熱が多かったり、しばらくすると通信が切断されたりNIC自体がPCから認識されなくなるといった不安定という評価があって心配になっていた。AQC107系以外のチップを採用したNICもあったけれど、AQC107系を採用したNICより高価になるので、思い切ってAQC107系を採用したNICから選択することにした。たまたま、AREAからAQC107Sを採用したNICであるSD-PE410GL2-Bという製品が発売開始されていて、他のAQC107系を採用したNICより大きめのヒートシンクを採用していたので放熱面で有利かと思い、この製品を購入してみることにした。
SD-PE410GL2-Bは通販で発注してまもなく届いたのでメインPCであるYuiに装着。ドライバを入れる前からWindows11側に認識されたけれど、なるべく新しいドライバがいいのではと思ったのでMarvell社のサイトから最新版のドライバを入手してインストール。AQC107系を採用したNICで動作が不安定になった場合にはドライバの詳細設定で各種オフロード処理を無効化すれば安定したとの情報があったけれど、まずは、全てデフォルト設定のままで運用を行ってみることにした。その結果、何も問題が発生することなく安定して稼働することを確認。SD-PE410GL2-Bは新しい製品なのでチップ自体のファームウェアが更新されていて動作の不安定さが改善されているのではと期待していたのだけれど、期待を裏切らない感じで一安心であった。
Yuiとハブとの間・ホームゲートウェイXG-100NEとハブの間が10GbEでリンクしていることを確認できたので、SpeedTestのアプリを使用して通信速度の測定を行ってみた。その結果、かなりの通信速度の向上を確認。まさか、ここまでの速度が出るとは予想していなかった。
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2.5GbEでリンクしていた状態での速度測定結果。 リンク速度がボトルネックになっている感じの数値。 |
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10GbEでリンクしている状態での速度測定結果。 予想通り、2.5GbEでのリンクがボトルネックになっていたようだ。 |
今回採用したハブであるTP-SX105はファンレスであるけれどそれなりに発熱するので、TP-SX105の熱対策について情報収集を行った。TP-SX105の外側にファンを付けたりヒートシンクを付けるという対策を行っている人もいたけれど、TP-SX105を縦置きして自然通風での放熱強化を行っている人もいた。TP-SX105の筐体左右にはスリットがあって空気が通るようにはなっているが、横置きでは十分に空気の流れが発生しそうになく、縦置きにすれば熱い空気が下から上に抜けてくれるので放熱の助けになりそうであった。うちでも縦置きでの設置を行うことにし、準備を開始。うちではハブの類はテレビ奥のメタルラックに設置しているので、メタルラックにTP-SX105設置用の金具を取り付けて、そこにTP-SX105を縦置き設置することにした。
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TP-SX105設置用の金具はこんな感じで用意。 余っていた金具とネジで作成したので材料費はかかっていない。 |
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TP-SX105底面の壁掛け用のスリットにネジの頭を引っかけて縦置き設置。 TP-SX105の向きは内部の電源回路を下側にするために電源ジャック側が下になるようにした。 ちなみにネジ径は4mmがちょうどだった。 |
上記の設置状況において、室温24度の状態でTP-SX105の筐体温度は筐体下部が38度あたりで筐体上部が42度あたり。そこそこ温かいけれど、熱いというほどもなく、普通に触れる温度には抑えられている。
YuiでのSD-PE410GL2-Bの安定動作が確認できたので、サーバーであるKanaにもSD-PE410GL2-Bを搭載することにした。KanaのOSはLinux(Fedora)なのでAQC107Sが正しく認識されるか少し不安だったけれど、特に問題なく認識されて正常に動作したので一安心。これでPC同士で10GbEの通信ができる環境ができたので、iPerf3によるPC間の通信速度測定を行ってみることにした。その結果、KanaをiPerf3サーバーにしてYuiをiPerf3クライアントにして実行すると7.2Gbps前後、逆にYuiをiPerf3サーバーにしてKanaをiPerf3クライアントにして実行すると8.3Gbpsあたりの速度となり、10GbEの速度より幾分遅い速度になった。速度が出ない原因を調査するために、LANケーブルを交換してみたりTP-SX105を介さずにYuiとKanaをLANケーブルで直結して計測してみたりしたのだけれど、ほとんど速度は変わらなかった。このままでも十分に高速ではあるのでそのまま運用しても良かったけれど、気持ち悪いのでもう少し調査してみた。その結果、速度計測に使用していたiPerf3のバージョンがYui側とKana側で異なっていることを発見。Yuiの方のiPerf3が3.1.3でKanaの方のiPerf3が3.16.1であり、Yuiの方のiPerf3が古い。現時点でのiPerf3の最新版が3.17.1だったので、これをYuiの方に導入して改めて速度計測を行ってみた。その結果、YuiをiPerf3サーバーにすると9.6Gbps、KanaをiPerf3サーバーにすると9.8Gbpsの速度が出るようになった。まさかiPerf3のバージョンの影響だとは予想できなかった。ケーブルが原因であると考えてケーブルを買い換えたりしてしまったけれど、特に買い換える必要はなかった様子…。
また、Kanaのシステムログに数時間おきにNICのリンクダウンとリンクアップが記録されていることに気がついた。リンクダウンしても数秒でリンクアップしているのでほぼ影響はなかったけれど気持ち悪い状況なので調査を行った。この状況もLANケーブルに由来するものかと考えたのだけれど、何らかの機器から発生するノイズの影響があるのではと思いついて、LANケーブルを通している経路を確認してみた。これまで、部屋のレイアウトの都合でハブとKanaを接続するLANケーブルが冷蔵庫の裏側の床の上を通っていた。冷蔵庫裏側の床近くにはコンプレッサーがあって、このコンプレッサーの動作開始時にノイズが発生してLANケーブルに影響を与えてしまいリンクダウンしてしまうのではないかと予想し、試しに、冷蔵庫裏の床上を通していたLANケーブルを床上から冷蔵庫上部にまで持ち上げて、LANケーブルと冷蔵庫のコンプレッサーとの距離を離してみた。この対策でKanaのNICのリンクダウン・リンクダウンが発生する頻度はかなり減った。同様に、ホームゲートウェイXG-100NEとハブを接続するLANケーブルも冷蔵庫裏側の床上を通っていて、XG-100NEのログにもリンクアップ・リンクダウンが記録されていた。こちらも冷蔵庫のコンプレッサから離したことでリンクアップ・リンクダウンの発生頻度はかなり減った。ただ、双方ともたまにリンクダウン・リンクアップが発生するので、まだ対応が必要かもしれない。
サーバーのKana・メインPCのYuiとも10GbE化できたので、続いてサブPCであるAiについても10GbE NICを搭載して10GbE化することにした。これまでと同じくSD-PE410GL2-Bを搭載して10GbE化を完了。こちらは特に問題なし。作業用PCであるSaoriについては、とりあえず2.5GbEのままでも問題ないと考えて10GbE化は後回しにすることにした。
SD-PE410GL2-Bはそこそこ大きなヒートシンクを搭載しているけれど、動作中にこのヒートシンクを触るとそれなりに熱い。SD-PE410GL2-B自体の公式スペックでは消費電力が最大3.8Wとなっているが、その割に熱い気がする。触っても火傷するほどではないし、SD-PE410GL2-B搭載前後でKanaやAiの消費電力が2~3Wほど増えたので、そんなものなのかもしれない。
今回の10GbE化で、各PC間の通信速度自体はかなり向上したけれど、各PCのストレージがシステムドライブなどの一部を除いてHDDのままなので、実質的なデータ送受信速度は微増に留まっている感じ。ただ、速度が速くなることでデメリットがあるわけでもないので、このまま運用していく予定。現状の構成は発熱多めなので、より低発熱なNICやハブが出てきたら置き換えようと思う。