うちのサーバーPCであるKanaに搭載しているHDDについて運用期間が長いものがあったため、そろそろ換装したくなってきていた。換装するついでに容量も拡大することにし、検討を開始。
これまでのKanaのドライブ構成はHDDが合計48TB(8TB HDDが6台)であり、Kanaのマザーボード(ASUS TUF GAMING B660M-PLUS D4)のSATAポートは4ポートなので2ポート足りないため別途SATAカードを追加して対応していた。今回のドライブ換装では容量拡大とともにHDD台数も4台までに減らしたかったので、HDD1台辺りの容量は12TB以上が必要になる。容量拡大のため、16TBのHDDの4台で構成することにし、情報収集を開始。
これまでのKanaに搭載してきたHDDはメイン側に24時間運用対応のHDD、バックアップ側に一般PC向けHDDを採用していたのだけれど、現時点では16TB容量の一般PC向けHDDは存在しないため、メイン側・バックアップ側とも24時間運用対応のHDDを採用することにした。最終的に選択肢に残ったのは、東芝製のMG08ACA16TEとMN08ACA16Tである。MG08ACA16TE・MN08ACA16Tとも24時間運用対応のHDDで、MG08ACA16TEがエンタープライズ向けでMN08ACA16TがNAS向けとなっている。メイン側にMG08ACA16TE・バックアップ側にMN08ACA16Tを採用することにし、正式採用前にテスト運用をを行うために1台ずつ購入。
テスト運用を行うことにした理由は、MN08ACA16Tにケースとの相性問題があるとの情報があったためである。ケースによっては静音化のためにHDDをラバーブッシュを介してマウントするものがあって、MN08ACA16Tをラバーブッシュ経由でマウントするとヘッドシークに問題が出てシークエラーが発生してしまうことがあるらしい。KanaのケースであるDefine MiniもHDDをラバーブッシュ経由でマウントするタイプなので問題が出ないか確認してみたかったのだ。Kanaのバックアップ側のHDDのうち2台をそれぞれMG08ACA16TEとMN08ACA16Tに置き換えて実際にテスト運用を行ってみたところ、MG08ACA16TEの方には全く問題は発生しなかったがMN08ACA16Tにはやはり問題が発生してしまった。シークエラー多発によりシークエラーレートがどんどん悪化していき、頻繁にヘッド待避が行われてしまう状態であったのだ。このため、KanaでのMN08ACA16Tの使用を諦めることにした。
MN08ACA16Tの購入時に相性保証を追加していなかったため、購入店舗に対してMG08ACA16TEとの差額と相性保証相当の金額を負担してMG08ACA16TEへの交換ができないか相談してみたところ、店舗のご厚意でMN08ACA16Tを初期不良相当として返品を受け付けてもらえることになり、返品を行いMG08ACA16TEを購入しなおした。追加でバックアップ側としてもMG08ACA16TEを購入し、MG08ACA16TEの4台構成で行くことにした。
また、これまではKanaにはSSDを搭載せずにHDDのみの構成にしていたけれど、今回は思い切ってシステム関連をSSDに格納することにした。KanaのマザーボードにはM.2 SSDを2枚搭載できるので、システム関連のSSDと、それのバックアップ用のSSDとして1TBの製品をそれぞれ搭載することにした。システム向けSSDとしては、サブPCであるAiで実績のあるWD Red SN700 NVMe SSD WDS100T1R0Cを採用。バックアップ側については、少し前にリリースされたWD Blue SN580 NVMe WDS100T3B0Eを採用。
Kanaに搭載するHDDとSSDが揃ったので、運用の準備を開始。これまでのKanaのパーティション構成では最近のKanaの運用状況と合わない部分があったためパーティションの整理を行うことにし、パーティション構成を決めて各パーティションを作成。その後、メイン側の新HDDに旧HDD側からデータのコピーを実行し、念のため比較を行い問題なくコピーが完了できていることを確認。そして、マザーボードにSSDを搭載して、OSであるFedoraをインストールする作業を行った。インストール後、各種設定や旧システムからのデータ復旧を行い、正式に運用を開始。
今回採用したMG08ACA16TEはヘリウム充填HDDであり、7200rpmでプラッタ9枚構成ではあるものの消費電力が低めとなっている。今回の換装でHDD台数が6台から4台に減った上に各HDD自体の消費電力も減ったこともあり、Kanaの全体での消費電力は以前の60W台前半から40W台前半へとかなり減った。HDDの通常時の動作音は前より静かになったもののシーク時の動作音は以前よりやや大きくなったけれど、ラバーマウントを生かしたままHDDを搭載できたことでケースへの共振はほとんどなく十分に静音状態を維持できている。システム関連がSSDになったことでKanaの起動がかなり速くなったけれど、頻繁に再起動することはないのでさほどメリットはなし。WD Red SN700は書き込み寿命が2000TBWとなっていて、Aiに搭載しているものは運用開始から2年経過して約10TB書き込んだ状態でも健康状態が100%のままなので、Kanaについてもまずは寿命は心配しなくても良さそう。
今回のKanaのドライブ換装はこれまでのドライブ換装と異なり全てのドライブを換装したので6台のHDDが浮いたのだけれど、このHDDについてはバックアップ用や予備HDDとして確保しておくことにした。以前のバックアップ用HDDや予備HDDについてはとりあえず売却の予定。
余談であるが、さすがに16TBなHDDともなるとHDDのリードチェックにもかなりの時間がかかってしまう。MG08ACA16TEについては東芝純正のチェックツールが存在しないためWinDLGでチェックを行ったのだが、チェック完了までに約26時間もかかってしまった。うちでは作業用PCであるSaoriにてチェックを行えたので時間がかかったとはいえ問題はなかったけれど、使用前に大容量HDDのチェックを行うのはそろそろ現実的でない感じになってきた気がする。
もう一つ余談。MG08ACA16TEはラバーブッシュ経由でHDDトレイにマウントしても問題なく動作してくれているけれど、ヘッドシーク時にかなりHDD筐体が振動して不安になったので、HDDのマウンタにスポンジを追加して少しだけマウントの自由度を減らしておくことにした。追加したのは小さなスポンジなのでHDDの振動をケースに伝えるまでには至らない。
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スポンジはこんな感じでHDDトレイの四隅に追加。 |