うちのサーバーであるKanaについて、しばらく前からLANの送信速度が遅いことが気になっていた。iperfにより通信速度を計測してみたところ、クライアントからサーバーへの通信速度はGbEの理論値に近い900Mbps以上の速度が出る一方で、サーバーからクライアントへの通信速度は500Mbps前後の速度になってしまっていた。LANケーブル不良を疑って交換してみたが状況が変わらなかったため、NIC側の設定あるいは何らかの問題であろうと考え、NICを変更して状況を確認することにした。

KanaのNICはオンボードのIntel Ethernet Connection I219-V（以下、I219-V）で、これはクライアント側のメインPCなYuiとサブPCなAiと同じである。異なる点としては、サーバー側がLinuxでクライアント側がWindows10であることである。上記したようにiperfで通信速度計測を行ったところ、Windows側では送信・受信とも特に速度の違いが無かったが、Linux側では受信時には問題ないものの送信時の速度が出ないことが判明。Linux側ではI219-Vはe1000eドライバにより動作していたのでe1000eの設定で何とかできないか調査してみたけれど、有用な情報は得られなかった。

設定による対応が難しそうであったため、KanaのNICを変更し、状況が変わるかどうか確認してみることにした。手元に残っていたIntel 82574L搭載NIC、Intel Gigabit CT Desktop Adapter EXPI9301CT（以下、PRO/1000CT）をKanaに装着して速度を計測してみたところ、送受信とも900Mbps以上の速度が出ることを確認。このPRO/1000CTについてもe1000eドライバで動作しているので、NICのチップにより何らかの動作設定が変更されている気配。

このPRO/1000CTをそのままKanaに装着して使うという手もあったのだけれど、このPRO/1000CTは購入からそれなりの年月が経っている（購入時期は2010年11月）ため、もっと新しい製品を試してみたくなった。サーバー用なので安定性重視、ただしコストも無視できないという条件で検討した結果、Winyaoというメーカーによる WYI210T1を使ってみることにした。このWYI210T1はIntel Ethernet Server Adapter I210-T1に相当する製品とのことで、チップも同じくWGI210ATを搭載していてPC上では同じ製品として認識される。ただし、WYI210T1はIntei製のNICよりは多少造りが簡略化されているように見える。

左がPRO/100CT、右がWYI210T1。 ネットワークコントローラ以外のパーツの実装状況にコストの差が見える。

WYI210T1をKanaに装着してみたところ、特に問題なく動作してくれて一安心。WYI210T1は、I219-VやPRO/1000CTとは異なり、e1000eドライバではなくigbドライバで稼働する。ドライバの状況をdmesgで確認するためにコマンドラインから dmesg | grep –i e1000eとやってみたらマッチしなくて心配したのだが、dmesg | grep eth0とやったら igbドライバで稼働していることを確認できた。lspciを実行してみると、WYI210T1はigbドライバの元で「Intel Corporation I210 Gigabit Network Connection」として認識されている様子である。ちなみに、このWYI210T1についても、iperfでの通信速度計測において送信・受信とも900Mbps以上を計測。

以下、簡単に各NIC毎のiperfの結果を記載してみる。Kanaの相手はいずれもYuiである。I219-Vのみ、送信速度が遅い。それ以外は、微妙な数値の違いがあるものの、ほぼ同等に見える。

この結果を踏まえて、以後、KanaについてはWYI210T1を搭載して運用することにした、今のところ特に不安定な感じは受けないので、そのまま運用の予定である。